WIRED日本版という科学読み物雑誌を読んでの感想。
Vol.32の表題は「DIGITAL WELL-BEING」でした。
ウェルビーイングを一言で言い表すと、よく生きている状態となります(?)。
昔から、幸福論的な考察はされてきていたと思うのですが、科学的に幸福度なるものを測定し、データ分析をして活用しましょうという流れを、昨今のデジタルと掛け算して提唱しようとしているもののように感じています。
そもそも、人の幸福度を測定する物差しが存在し得るのか。という問いが生まれるのですが。
国による文化の違い・個人の形成された価値観、等々で基準というものが曖昧ではあります。
研究が行き詰ってナラティブな切り口から再考するというものではなく、最初の土台からナラティブ発想のような気がします。
しかし、そういうような事を考えていたのですが、実際そのデータ分析から得られるものは興味深いものがありました。
今までの幸福論的思考では、”ものは言いよう”という否定を脱しきれず、”人それぞれだから”と片付けられてしまうことがあるのですが、データが示されると提示された事象の裏付けがかなり高くなります。
“物は言いよう” ”人それぞれだから” では片付けられないのです。
ウェルビーイングが「個」から派生した尺度で測定されたものだとしても、その共同体の方向性を自己から他者への大きな流れと捉えるとしたら、次世代のポストSDGsと位置付けられてもおかしくはないと思います。
認識の共有という点においては。
社会的な関係性において、「個」の連続したものが「共」となるという事をベースに置いてですが。
昨今の個人主義への偏重から脱却できる考えでもあります。
ウェルビーイング研究をしている予防医学の石川善樹が言ってました。
一日の終わりをToDoリストをチェックするよりも、何が出来たかを考えることが大事だと。
そして、その日の一日の大半とても楽しいことがあってとしても、最後の一瞬に悪いことが起きると、その日の一日の記憶は悪いことがあった日になってしまうと。
一日の振り返りがとても重要だと言う事です。
研究では腕時計のような機器を装着して、数年・数万人のデータを蓄積し定量データを分析することが行われているようです。
文学という文脈で語られてきた幸福論。
デジタルというガジェットを実装して、新しく、有用な方向性を提示できるようになるのでしょうか。